日本の社会構造を分析した「タテ社会の人間関係」などの著書で知られる社会人類学者の中根千枝さんが、先月12日に老衰のため、東京都内の高齢者施設で亡くなりました。
94歳でした。
中根さんは東京都生まれ。
インドなどで、現地に長期間住み込んで調査を行い地域社会の構造や特徴を明らかにする社会人類学の手法を発展させました。
1967年に出版した「タテ社会の人間関係」は、日本の社会構造をムラ意識、派閥抗争、年功序列といった独自の視点で分析し、日本社会論の代表的な著作として海外にも広く紹介され、息の長いベストセラーとして読み継がれました。
このほかにも、アジアのさまざまな家族や親族の関係を比較して社会構造の解明を進め、「家族の構造」や「社会人類学」といった著書を発表しました。
中根さんは、母校の東京大学で女性として初めて教授となるなど日本の学術界での女性の進出をリードする役割を果たし、2001年には文化勲章を受章しています。
家族によりますと、中根さんは2年前ほどから都内の高齢者施設に入所し、施設でも論文を読むなど執筆活動の準備を進めていたということですが、先月12日、老衰のため亡くなったということです。
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